イデア(idea ) 理想
もと、見られたもの・姿・形の意。
古代ギリシャのプラトン哲学の中心概念で、感覚的世界の個物の原理・原形として理性的認識の対象となるとともに、超感覚的価値として価値判断の基準となる永遠不変の実在です。
近世以降、観念、または理念の意となっています。
芸術家の私にとってミス日本とか、ミスワールドとかのコンクールで選ばれた美人といわれる女性が最も美しいのではなく、イデア、理想像ではありません。
同じく有名な世界遺産の富士山やエヴェレストがイデアなのではない。
それらを写真にとって、世界中に宣伝し、一般大衆をうなずかせるかもしれない。しかし芸術家にとってはそうではありません。
私にとって故郷の京都の風景の何でもない一隅や、普通の日本の女性、純朴な女性のモデルの姿・形がイデア・理想に通じるのです。
真実と愛をもって、風景や人間の自然(じねん)の生命(いのち)を見る、芸術家の眼と精神(心)が大切なのです。
ギリシャ文化、芸術の理論的分析と総合、造形精神がなければ、ヘヴライのキリスト教は、文化、芸術を創造することにならなかった。
同じくインドの佛教は、文化、芸術を創造することにならなかった。
古代ギリシャ以来の西洋の造形美術を画家として研究し、古代からのインド思想を学び、現代の絵画作品を創造して来た私にとって、インドとギリシャを起点とする古代から近代までの東洋と西洋の思想、文化、芸術の交流の歴史は、一生涯の関心事です。
ギリシャ美術の源流はエーゲ美術であり、更にエジプト美術です。エジプト彫刻の男女(王と妃)立像やレリーフの沈刻は、ギリシャ彫刻や絵画以上に力強い存在感があります。エジプト文明の元はエチオピアです。