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ピエル・キュリー。


       ピエル・キュリー。


 犯罪者の手にはいれば、ラヂウムは極めて危険な物となるということは考えられることであります。そのことに関聯して我々は、一たい人類が自然の秘密を識ることによって利益があるのであろうか、一たい人類は自然の秘密の知識を善用することが出来るほど成熟しているのであろうか、或いは又かかる知識は人類に有害なのではあるまいかと疑うことができます。ノーベルの諸発見の例こそはこの問題にとって特徴的なものであります。即ち強力な爆薬は人類に感嘆すべき大事業を可能ならしめたのでありました。一方これ等の爆薬は、諸民族を戦争に引き込むような犯罪者の手に落ちれば恐ろしい破壊の手段ともなるのであります。私はノーベルと同じように、人類は新しい発見から悪よりも、寧ろより多くの善を抽き出すであろうと信ずる者の一人であります。

    ピエル・キュリー(1903年ノーベル受賞記念講演)

 
 
 
 
 
 

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