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ブツダ。


         ブツダ。

 

この世で一切の罪悪を離れ、地獄の責苦を超えて努め励む者、精励する賢者、——そのような人が<勤め励む者>と呼ばれるのである。


内面的にも外面的にも執著の根源である諸々の束縛を断ち切り、一切の執著の根源である束縛から脱れている人、——そのような人が、まさにその故に<育ちの良い人>と呼ばれるのである。


全世界のうちで内面的にも外面的にも正邪の道理を知っていて、人間と神々の崇敬を受け、執著の綱を超えた人、——かれは<聖者>である。


全世界のうちで内面的にも外面的にも諸々の感官を修養し、この世とかの世とを厭い離れ、身を修めて、死ぬ時の到来を願っている人、——かれは<自己を制した人>である。


あらゆる宇宙時期と輪廻と(生ある者の)生と死とを二つながらに思惟弁別して、塵を離れ、汚れなく、清らかで、生を滅ぼしつくすに至った人、——かれは<目ざめた人>(ブツダ)という。


物質的領域に生まれる諸々の生存者と非物質的領域に住む諸々の生存者とは、消滅を知らないので、再びこの世の生存に戻ってくる。
しかし物質的領域を熟知し、 非物質的領域に安住し、消滅において解脱する人々は、死を捨て去ったのである。


名称と形態において(わがものという思い)の全く存在しない人、また(何ものかが)ないからといって悲しむことのない人、 ——かれは実に世の中にあっても老いることがない。


名称と形態とに対する貪りを全く離れた人には、諸々の煩悩は存在しない。だから、かれは死に支配されるおそれがない。


物質的な形態があるが故に、人々が害われるのを見るし、物質的な形態があるが故に、怠る人々は(病いなどに)悩まされる。それ故に、怠ることなく、物質的形態を捨てて、再び生存状態にもどらないようにせよ。


つねによく気をつけ、自我に固執する見解をうち破って、世界を空なりと観ぜよ。そうすれば死を乗り越えることができるであろう。このように世界を観ずる人を、<死の王>は見ることがない。

                     スッタニパータ

 
 
 
 
 
 

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