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[懇親会 乾杯挨拶] 榊 原 吉 郎

京都のエネルギーと底力 人々の力町衆の力 伝統を生み出す力 本阿弥光悦 俵屋宗達 尾形光琳 乾山兄弟 神坂雪佳などを生み出したのも京の町衆 今ここに京都の町衆の画家遠藤剛熈を育て見守る町衆エネルギーの存在を改めて実感 遠藤藝術の根底には京都の町衆の息吹がある

榊原吉郎(美術史家、京都市立芸術大学名誉教授)

 

 只今、ご紹介を頂きました榊原でございます。
 開館十周年おめでとう御座います。
 最初から私事で申し訳ありませんが、東京生まれの私にとって、七十数年間住み慣れておりながら未だにわからない事柄によく気付かされることがあります。京都は不思議な町です。自分ではある程度理解したつもりになっているのですが、日々新たに驚くことに出会い、それは一体どういう事なのだろうかと、考え込んでしまうのです。
 私の考えた結論は、それは京の町のエネルギーだということです。京都の底力ということにもなるでしょうが、人々の力、町衆の力です。伝統を生み出す力、それは町衆のエネルギーに他ならないのです。私のライフ・ワークである神坂雪佳研究、つまり近代の琳派研究も京都の町衆が生み出したものであり、近世の琳派・本阿弥光悦、俵屋宗達、尾形光琳・乾山兄弟などを生み出したのも京の町衆です。遠藤さんもまた町衆の一人です。今ここに遠藤さんを育み見守る町衆エネルギーの存在に改めて気付くことになりました。遠藤藝術の根底には京都の町衆の息吹があり、それを実感することできました。
 遠藤さんの藝術が深化し、大きく展開することを祈念し、そしてご参会の皆様方のご健祥を願い乾杯をいたしますので御唱和ください。

               (美術史家)

 
 
 
 
 
 

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