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2008.01.01 - 京博連だより 京の博物館 Vol.39 2008.1 遠藤剛熈美術館紹介


おこしやす
芸術寺院「本物」の創造
遠藤剛熈美術館


 
 

遠藤剛熈美術館は、遠藤剛熈自らがデザインし平成12年(2000年)秋に開設した美術館である。

遠藤剛熈は徒党を組まず、個人として、自分自身のため、真実のために制作した。外面を見ず内面のみを見つめ深め、信仰や信念のために戦い努力した。

西洋芸術を学んだが模倣にとどまらず、日本の国土の自然と精神伝統と生活の現実に根ざした、独自な芸術を創造した。
機械化しヴァーチャル化した現代にあって、収蔵作品の約1500点の全ては、屋外の風景の現場で対象に直接面して、新鮮で生々しく強烈な自然の存在の生命に、感動し驚嘆し畏敬をもって制作した。油絵は一作に十年、二十年かけて描き加え、重厚かつ透明感がある。鉛筆や墨や絵の具の黒を用いた、一筆入魂のデッサンには武士の精神がある。

自然を傍観せず凝視し実在に食い入り、主観と客観の分別を超えて、自然と人間が一つになり合体する。 山川草木大地悉皆佛性神性。自然宇宙・神佛・真理真実を同義とする思想を屋外の自然の制作の現場で実行している。

創造の生命の芸術的真理と宗教的真理は一つと信仰をもって、流派宗派を超えた芸術寺院の建立をすすめている。

…西洋の古代インド思想―バラモン教、佛教、ヒンドゥー教…―の研究は、本格的には十八世紀から始まった。ゲーテ、モオツアルト、シヨーペンハウエル、ルドン、セザンヌ、ゴッホ、マイヨール、ヘッセ、ロランらは東西思想、文化の一体化の仕事をしている。
音楽のモオツアルトと絵画のセザンヌの成期の作品には、それぞれ禅と浄土に通じる境地がある。

ゴータマ・ブッダ、イエス・キリスト、法然、親鸞、栄西、道元、日蓮、白隠…も、バッハ、モオツアルト、セザンヌ、ゴッホ…も、私的に家にとどまらず、無所有で、生涯屋外の自然の中で修道した。そうして大地を最後まで歩みつづけ、ブッダは野辺に、キリストは丘上に、法然、親鸞らはあばら家に亡くなった。
セザンヌ、ゴッホは、ともに屋外で絵を描きながら倒れ、無名で果てた。バッハは没後作品は二束三文で売り飛ばされ、モオツアルトは共同墓地に葬られた。
彼等は、真理のためにのみ真実に生き、死んだ。

真理は一つ。天地に二つはない。古今東西南北を超えている。創造の生きた宗教的真理と芸術的真理は究極一つである。科学と芸術と宗教の目的は一つであるべきである。…

               遠藤剛熈 エッセイより

                         桂川

芸術は国境・人種・宗教・思想の争いは無い。
出生・階級・貧富・賢愚の差別はない。
芸術は元より憎悪と闘争を一切超えたものだ。
芸術の使命は愛、慈悲である。
この美術館は永遠なるもの(自然・宇宙・神佛)と人類が出会う謙遜な寺院でありたい。…
美術館建立の趣意文より

                         水路閣と椿

 

美術館の活動

当館は
1、自然との共生。 自然と人間の美と真実の探求。
2、温故知新。   古典、伝統の尊重と学習。
3、諸文化の交流。 文化の生活の共同。

の三つを支柱に芸術を愛する全ての人々に開かれた美術館でありたいと念じています。


自然との共生

人間による地球の自然破壊が止まらず、社会の情報化、ヴァーチャル化が進み、リアリティーが失われている現代。現実の新鮮な感覚や感動をともなう自然を、熟視観察し、思考し、総合的に研究し、自己実現を目指します。人間を包含する自然の諸存在と生命を等価値と見て畏敬と愛をもち、自然と人間の美と真実を探求します。
当美術館附属のアトリエでは、老若男女が風景や人物の対象を前にして造形芸術の形、色彩、調和の研究をしています。


温故知新

                                               

当館は京都の長い歴史のある小路に面しており、古い町家を近年ギリシャ風ファサードのある美術館に建て替えたシンプルでユニークなものです。遠藤剛熈は京都に生まれ育ち、半世紀以上京都の自然と人間を描き続けてきました。

温故知新、古い自然や街や芸術作品の中に本当の新しさがあることを心で感じ取り、それを尊重しそこから学びます。自然と文化を破壊から護る市民運動の環を皆さんと一緒に広げましょう。

当館の機関誌「凝視」をすでに21号まで発刊しています。人間の出会い、自然と芸術、伝統と創造、歴史探究、国際交流などをテーマに、学術研究者の寄稿を受け、共同研究をすゝめています。


諸文化の交流

当館は開館以来毎年内外の芸術家や学者の美術展や音楽会や講演会を催して来ました。
元より文化芸術は特定の専門家のためにあるものではなく、人間皆のためにあるものです。当館は、縦割社会の狭い枠を超えて、様々な職業、分野、立場の老若男女が、本当の自分を生かし、願いや祈りを表現し、真実な出会いによって、文化の創造的生活を共同するところでありたいと念じています。建築、絵画、デザイン、音楽、舞踏等のアトリエ。発表のギャラリーやコンサートホール。教育、科学、福祉、宗教等のセミナー。又、人生の各時期に応じて結婚式、同窓会、偲ぶ会などに供することになればと思っています。

                    遠藤剛熈美術館
                    館長/遠藤剛熈
                    学芸員/内藤真臣
                    /詫磨静香

「画家 遠藤剛熈」加藤周一(文)遠藤剛熈(画)共著 出版記念会 加藤周一さんのお話と対談のつどい

 
 
 
 
 
     

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